Google 動的リマーケティングは、GDR(Google Dynamic Remarketing)とも呼ばれるパーソナライズド広告です。静的バナーを表示する通常のリマーケティング広告と比べCTR・CVRが高く、費用対効果の高い施策として普及してきました。
Criteoダイナミックリターゲティング広告やFacebookダイナミック広告など他の広告と併用する広告主も多く、自サイトでの導入を検討している方も多いのではないでしょうか。
今回の記事では、Google 動的リマーケティングの特徴や、AdWords管理画面での設定・運用について解説します。
Google 動的リマーケティングの特徴
GDN上にダイナミック広告を配信
AdWordsから出稿すると、Googleディスプレイネットワーク(GDN)が提携するメディアに広告を配信します。Criteoと同様に、ユーザーの興味・関心にあわせたレコメンドバナーを訪問済みユーザーに表示します。
さまざまな業種にあわせたフォーマット
小売、旅行、不動産、求人、飛行機、ホテルや賃貸物件、教育、地域限定の商品やサービスといった業種毎に仕様が準備されているほか、カスタムのタグ・フィードを使用することでその他の業種にも対応できます。
UU数・予算による制限がない
リターゲティングのため、一定以上のリマーケティングリストは必要ですが、UU数の制限がないため、月間UU数が4万以下のサイトでも利用できます。
広告を自動生成する動的リマーケティングの仕組み
動的リマーケティングでは、配信面に掲載するバナーを都度生成します。あらかじめ指定した広告のレイアウトに、フィードで入稿した情報を組み合わせることで幾通りもの表示パターンのなかから最適なクリエイティブをユーザーに表示します。
ユーザーの興味・関心を取得する仕組みとしてはCookieがもちいられています。サイトに設置したタグからユーザーにCookieを付与し、閲覧したページの情報を蓄積します。
広告に表示する情報はデータフィードで入稿します。「テキスト」「画像」「ランディングページのURL」などの情報をデータファイルに集約し、Googleと連携します。
広告掲載に必要な準備
上記のような仕組みからGoogle 動的リマーケティングの出稿では、タグ・フィードなどテクニカルな対応が必要です。運用開始後は、配信結果に応じた調整をおこないますが、準備段階での設計が重要です。
タグ
ユーザーがどのページを閲覧したかなどの情報を収集するため、ウェブサイトにリマーケティングタグを設置します。大量のページにタグを設置する際は、Googleタグマネージャ、Yahoo!タグマネージャーなどのタグマネジメントツールを利用するのが一般的です。
広告の精度を向上するためには、極力多くの情報を正確にGoogleに伝えましょう。動的リマーケティングでは、ページの役割を定義し、フィードの情報とユーザーの情報をひもづけるためカスタムパラメータを設定します。
カスタムパラメータ
業種毎にタグで収集する情報が異なります。以下は、小売業で指定するカスタムパラメータです。必須と推奨の項目があり、それぞれのカスタムパラメータに、適切な値が入力されるようタグを設定します。
カスタム パラメータ | 説明 |
ecomm_prodid(必須) | ユーザーが閲覧した商品を収集するため、商品IDを出力します。 ・商品詳細ページの場合:ページに表示されている商品のIDを出力。 ・カートページの場合:カートに入っている商品の数だけIDを出力。 ・購入完了ページの場合:購入された商品の数だけIDを出力。 ・商品一覧ページの場合、一覧に表示されている上位3~5商品のIDを出力。 |
ecomm_pagetype(推奨) | ユーザーが訪問したページを収集するため、ページの種類を出力します。 ページの階層に応じて、下記のいずれかを使用します。 ・home:トップページ ・searchresults:検索結果ページ ・category:カテゴリリストページ ・product:商品詳細ページ ・cart:カートページ ・purchase:購入完了ページ ・other:上記以外のページ |
ecomm_totalvalue(推奨) | 商品の価格を収集するため、商品の合計価格を出力します。 ・商品詳細ページの場合:ページに表示されている商品の単価を出力。 ・カートページの場合:カートに入っている商品の合計金額を出力。 ・購入完了ページの場合:購入された商品の合計金額を出力。 |
小売以外の業種についても、Googleのヘルプページを参考に設定しましょう。
https://support.google.com/adwords/answer/7305793?hl=ja
データフィード
タグと同様にフィードの項目も業種毎に異なります。フィードで指定した値がクリエイティブに表示されるほか、カスタムパラメータの値と連動してGoogleに情報を送信します。
広告に、価格や商品名、画像などを表示する際に、それらの情報を集約したデータファイルをGoogleに受け渡す仕組みがデータフィードです。小売の場合は、Merchant Center(マーチャントセンター)に、その他の業種では、AdWordsのビジネスデータに作成したフィードを登録します。
今回の記事では、ビジネスデータへの登録を解説します。Merchant Centerへの登録は以下の記事を参照ください。
参考)Google ショッピング広告:表示の仕組みから出稿手順、運用改善まで
Google 動的リマーケティングの出稿方法・掲載手順
次に、Google 動的リマーケティングを出稿する際のAdWords管理画面での設定手順を紹介します。
以下4つの手順をおこないます。
- キャンペーンを作成する
- データフィードを登録する
- リマーケティングリストに入札する
- 動的広告を作成する
1.キャンペーンを作成する
最初にまず、AdWords管理画面から動的リマーケティングのキャンペーンを追加します。
キャンペーンのサブタイプは「標準のディスプレイ キャンペーン」を選択します。
次に、動的広告の項目からフィードを使用するよう設定します。
パーソナライズド広告向けのデータフィードを使用するにチェックし、フィードで使用する業種を選択します。
業種は、教育、フライト、ホテルや賃貸物件、求人、地域限定の商品やサービス、不動産、小売、旅行、その他(カスタム オプション)から選択します。
2.データフィードを登録する
あらかじめ登録するフィードを用意しておきます。作成したフィードの登録はAdWords管理画面のビジネスデータから行います。(小売の場合は、Merchant Centerに登録します。)
設定にある、ビジネスデータをクリックし、遷移したページでデータフィードの項目を選択します。
動的ディスプレイ広告フィードを選択すると業種が表示されます。業種毎にフィードのフォーマットが異なるため、登録するフィードにあわせた業種を選択します。
名前とファイルを指定してデータフィードをアップロードできます。
登録したフィードの更新について、自動更新スケジュールを設定することも可能です。
データフィードの名前をクリックし、日程から更新スケジュールを設定しましょう。
3.リマーケティングリストに入札する
動的リマーケティングでは、リーチする対象のオーディエンスを、リマーケティングリストで区分して運用をおこないます。リマーケティングリスト毎に、広告グループを作成し入札単価を設定しましょう。
デフォルトのリマーケティングリスト(小売)
リスト | 説明 | タグ情報 |
サイトにアクセスしたユーザー | ecomm_pagetype = ‘product’、’cart’、’purchase’ のどれにも指定されていないページにアクセスしたユーザー。 | ecomm_pagetype タグを含めてください。設定する値(’home’ など)がないページでは、値を空のままにします。 |
商品ページを閲覧したユーザー | サイト上の特定の商品ページを閲覧したユーザー | 商品ページに ecomm_pagetype = ‘product’ を含める |
ショッピングカートを放棄したユーザー | ショッピングカートに商品を追加したものの、購入には至らなかったユーザー | カートページのに ecomm_pagetype = ‘cart’ を含める |
購入歴のあるユーザー | 商品を購入したことがあるユーザー | 購入確認ページに ecomm_pagetype = ‘purchase’ を含める |
上記は、小売業のデフォルトのリマーケティングリストです。その他の業種については、Googleのヘルプページを参考に設定しましょう。
https://support.google.com/adwords/answer/6335506?hl=ja
4.動的広告を作成する
動的広告を作成し、フィードのどの項目がどのようなレイアウトで広告に表示されるかを指定します。AdWordsのテンプレートを使用することで簡単に設定できます。
動的広告の設定が完了すると、広告配信を開始できます。
まとめ
今回の記事では、Google 動的リマーケティングの概要から掲載の仕組み、設定方法までを紹介しました。興味はあったが導入していないという方は、広告掲載にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
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[尾野 2018年3月28日公開]