広告運用Tips

効果を最大化する!Web広告予算の決め方・考え方は?

Web広告予算の決め方・考え方

Web広告を任された企業のマーケティング担当者にとって、予算をどのタイミングで、どの媒体、どのメニューにどれぐらい使うのかを決めるのは重要です。リスティング広告、FacebookやTwitterなどのSNS広告、Criteoなどのリターゲティング広告など色々な媒体を実施されている場合、どこにどれだけ配分するのが適切なのか悩まされるポイントだと思います。

そして、適切なタイミングで十分な予算を充てて、成果を最大化したいですよね。実は、予算配分の最適化が実は一番インパクトがある施策と言っても過言ではないのです。今回は年間の予算計画の立て方から、効果的な広告予算の配分の仕方・考え方をご紹介します。

目次

  1. 目標から予算を決める
  2. 年間の月別計画を立てる
  3. 月内の予算配分の考え方
  4. 計画はあくまで計画にすぎない。都度見直す癖をつけよう
  5. まとめ

目標から予算を決める

Marketing concept illustration with businessman pressing button

Web広告でどれぐらいの成果が必要なのか。まずは目標を明確にすることが重要です。例えば、会員獲得を指標としているケースで、1年間で30,000人の新規会員登録が必要、1会員獲得あたり500円のCPAの場合、必要な最低予算は以下になります。

30,000人×CPA500円=15,000,000円

もしECサイトで1件の獲得で5,000円利益を出せる商材を扱っており、年間2回はリピートしてくれることが実績としてある場合は、LTV(ライフタイムバリュー)で考えると、最大でCPAの上限は10,000円になります。この場合、Web広告で年間3,000件売りたい場合の最大予算は、30,000,000円です。

年間の月別計画を立てる

広告の年間月別計画

年間のWeb広告に充てる予算が決まったら、月別での計画に落としましょう。業種によって繁忙期、閑散期が異なります。当然繁忙期のほうが成果は得やすく、閑散期は成果が得にくい期間になります。なるべく繁忙期に予算が多く充てられるよう配分しましょう。そしてその月にどの程度の成果を見込むのかを当て込んでいきます。一例としてとても簡単な割り振り方をご紹介します。

年間のトレンドを参考に予算を月別に配分する方法

仮に4月から1年間の予算を決める場合に、昨年のサイト全体に来訪するユーザー数の月ごとの割合から各月の予算を決めます。ユーザー数はGoogle アナリティクスなど計測ツールの数値を活用しましょう。

広告予算を月別に配分する方法
※表をクリックすると拡大します。

昨年、年間1,500人のユーザーがサイトに来訪し、4月はそのうち100人来訪していた場合で年間の予算が15,000,000円だとしたら、以下の計算でざっと割り振ります。

15,000,000×5.56%(100÷1,500)=1,000,000円

まずは上記のように過去の数値をベースとしてざっくり予算を月別に割り振ってみましょう。

月内の予算配分の考え方

広告の月内予算配分の考え方

月別で予算を配分した後は、月内でどの媒体、どのメニューにどの程度かけるべきかを決めていきますが、決める上でのポイントをお伝えします。

リスティング広告を中心に組み立てる

まずはリスティング広告に優先的に予算を充てることをお勧めします。リスティング広告はユーザーが自ら検索して商品やサービスを探しています。そのため、その他のディスプレイ広告、SNS広告よりも優先的に予算を配分します。

業種によっては、キーワードの検索数が少なくリスティング広告の予算が少なくなることもありますが、ここで言っているのは「額」ではありません。あくまでまずは「リスティング広告の予算をいくらにするか」を先に決めるということです。

  • 許容できる成果の範囲で極力予算はリスティング広告に配分する。
  • 残りを他の媒体に配分する。その際、費用対効果が良い媒体へその効果を維持できる(目標CPAを超えない)限界まで配分
  • その次に効果の良い媒体へ同じくその効果を維持できる限界まで配分

配分する上で注意したい点

極端にリターゲティングに配分していないか注意して見てみてください。リターゲティングは効果の良い獲得手法の一つですが、表面的な数値が良いためにたくさんの媒体でリターゲティング広告を実施しているケースがあります。

ただし、そのユーザーはリターゲティング広告ではないと来てくれないユーザーでしょうか?もしかすると能動的にリピートしてくれるユーザーがたまたまリターゲティング広告と接触した可能性もあります。予算配分が極端にリターゲティング広告に寄っている場合は、一度見直してみても良いでしょう。リターゲティング広告が全体の50%以上を占めている状態であれば一度見直してみても良いかもしれません。

日別の配信計画を作ってみる

月の予算が決まったらどんなペースで配信するのがベストか検討してみましょう。月頭に多く充てるのか、月後半に寄せるのか。なぜそのようなことを考える必要があるかというと、月の中でもトレンドがあったり、効果に繋がりやすいタイミングがあるからです。

月額サービスの場合、なるべく長くサービスの恩恵を受けたいというユーザー心理から月初の成果が良いことが良くあります。また、母の日などイベントが近付くにつれ、トラフィックが増えて成果が得やすい状況になるケースもあります。年間の計画でお話ししたように、Google アナリティクスなど計測ツールで昨年のサイト全体のトレンドを捉えて、日別の計画に落としておくと良いでしょう。

月中でも成果によって見直す

決めた配分で開始して数値を追っていきますが、当然計画通りには進みません。自社要因、外的要因によって数値は変動していきます。そして、その月によって成果が良い媒体、悪い媒体も変わってきます。ある媒体では競合が配信を強化していて成果が悪化、ある媒体では新機能がリリースされて効率が改善するケースがあります。最初に立てた計画と実績を照らし合わせて月中でも都度配分を見直していきましょう。

また、最初にも書きましたが、出来るだけリスティング広告には制限をかけないのが理想。せっかく効率よく成果を出せているのに配信を絞るのはもったいないですよね。そんな時、チェックすべきポイントは以下です。

インプレッションシェアで予算が要因による損失が起きていないかをチェック

Google広告、Yahoo!広告共に、インプレッションシェアという指標があります。そして、インプレッションシェアの損失率(予算)という項目があります。ここで損失率が出ていた場合、予算が原因でインプレッションをロスしています。もし許容範囲内のCPAだった場合、成果は良いにも関わらず、露出を制限してしまっている状態です。これはもったいないので予算配分を見直して出来るだけ予算を充てましょう。

ちなみにインプレッションシェアの数式は以下になります。

Google広告の場合

検索広告のインプレッションシェア+検索広告のインプレッションシェア 損失率(予算)+検索広告の インプレッションシェア 損失率(ランク)=100%

Yahoo!広告の場合

インプレッションシェア+インプレッション損失率(予算)+インプレッション損失率(掲載順位)=100%

チャレンジしたい施策が出てきた場合

できれば新しい施策に取り組む予算がほしいところ。予めここも計画に含められるとベストです。ただし、いつどのぐらい必要かはわからず、またどの程度の成果を期待して良いのかも判断が難しいところだと思います。

よって、もし試したい新しいメニューや施策が出てきたら、まずは既存予算内で取り組みましょう。そしてその施策から成果が見込める場合に改めてその媒体を含めた計画に修正しましょう。予算がカツカツだから新しい施策はやれないと諦めず、既存施策の予算から少しでも捻出してトライしましょう。チャレンジなく未来は切り開けません!

計画はあくまで計画にすぎない。都度見直す癖をつけよう

都度広告を見直す癖をつけよう

最初に立てた計画通りに進むということはほぼありません。新たな競合の出現、市場の変化など様々な外的要因や、自社サイトのリニューアルによるCVR変動(上がれば良いが、下がることも多々あり・・・)などなど、色々な要因によって計画通りには進みません。都度、計画を見直す癖をつけましょう。

逆にもし想定したよりも効果が良い場合は、以下を検討しましょう。

年間予算の前倒し

成果が見込めるうちに後半から予算を前倒しして成果に繋げましょう。

追加予算の申請を検討

前倒して後半予算が足りなくなる前にWeb広告以外の施策から予算を再割り出来ないか検討する。または追加予算の申請を検討する

まとめ

どの時期にどの媒体・メニューにどれくらい予算を配分するか。これは成果にダイレクトに影響する施策です。冒頭にも書きましたが、予算配分の最適化が実は一番インパクトがある施策と言っても過言ではありません。

年間予算の予算配分はこれまで当たり前に実施されていた方も、月中での配分はあまり見直していなかったり、日別の計画までは立ててなかったという方もいらっしゃるのではないでしょうか?

最配信後の入札やクリエイティブ変更、LPテストの前にここを最適化することを優先的に考えましょう。最初は手間かもしれませんが、ここをしっかり取り組むことで確実に成果を上げることができるでしょう。