インターネット広告を用いる最大のメリットは、広告を出稿した際の結果が明確で、CTR(クリック率)やCV(コンバージョン)などの数値を測定可能な点が挙げられます。各数値を把握できることで、広告の効果検証を正確に行うことができ、その後の広告の効果を上げることができます。
広告を計測する準備を整える際、タグマネージャーや計測ツールといったワードを目にすることになると思います。今回はタグマネージャーや主要な計測方法についてまとめていきたいと思います。
目次
- 成果計測する基盤を整えよう。Google Tag Managerでタグを一括管理
- Google Analytics(Google アナリティクス)の導入して広告を横断的に計測しよう
- 計測基盤を整えることが大事
成果計測する基盤を整えよう。Google Tag Managerでタグを一括管理
インターネット広告の成果を計測する上で必ず必要となるのが計測タグです。計測タグは、媒体やツール毎に種類に違いがあり、毎回ページに設置するとなると時間も工数もかかります。また、基本的に計測タグは全てのページに埋め込むケースが多いため、計測タグを1ページずつページに直接埋め込んでいくと、仕様変更で計測タグの差し替えをしなければならないことがあります。
ページの数だけタグを書きなおす作業も発生しますし、何か不具合が発生した際も、発見が遅れたりするなど、管理が煩雑になります。そのような問題を解決してくれるのが、タグマネージャーです。本章では様々な企業で導入されているGoogle Tag Managerについて説明していきます。
Google Tag Managerとは
Google Tag Manager(以下、GTMと記載)とは、Googleが提供するタグマネジメントツールで、様々なタグを一元管理できるのが大きな特徴です。頭文字をとって「GTM」と呼ばれることもあります。無料で誰でも利用することができます。
GTMのタグをページ全体に設置し、GTM管理画面上でGoogle AnalyticsやGoogle広告、Yahoo!広告などのタグを登録する事で計測が可能となります。つまり、GTMのタグさえ設置してしまえば、各媒体の計測タグをページに直接加える事なく、変更や更新が可能になります。
タグの変更が発生するたびに管理者や開発担当者に依頼しなければならなかったことが、GTMを活用することで、自分で計測タグの設置を容易に行う事が可能になります。
Google Tag Manager(GTM)導入のメリット
GTMを導入するメリットとしては大きく分けて次の4つが挙げられます。
- バージョン管理ができる
- タグの設置が容易になる
- 公開前にプレビューできる
- タグ管理が容易になる
それぞれの特徴について説明していきます。
1 バージョン管理ができる
バージョンとはいつ更新されたものか、何番目に公開されたものなのかを示す事をいいます。過去に作成したバージョンは当時の設定内容ですべて残されるため、以前の設定内容へ戻したい、といった場合も容易に可能です。
新しく変更を加えると、自動的に新しいバージョンが作成され、途中で編集を止めても続きから編集することもできます。
2 タグの設置が容易になる
GTMを使うと、管理者や開発担当者に依頼することなく自分でタグをソースに埋め込む事ができます。
今までは広告媒体や計測ツール毎に発行されたタグは、それぞれのページ毎にソースコードの中に追加していく必要がありましたが、GTMを使用することで、GTM管理画面に入力して保存する事でページのソースに反映されます。
3 公開前にプレビューできる
公開前に設定内容が正しいかを確認するために、自分のブラウザ上だけにサイトへの設定内容を反映する事ができます。正しく動作している事が確認できたらそのまま公開する事が可能です。
4 タグ管理が容易になる
設定するタグが増えてくると管理が煩雑になりやすく、タグの設置漏れなども起こりえます。GTMを使用することで、タグを全てのページに反映させたり、どのタグを埋め込んでいるのかなども把握しやすくなります。
Google Analytics(Google アナリティクス)の導入して広告を横断的に計測しよう
計測する基盤(タグ設置)をGTMで整えたら、実際に計測ツールを活用して広告の成果を可視化していきましょう。インターネット広告には様々な媒体があり計測方法や計測タグも媒体毎に異なります。また、それぞれの媒体が独自に計測を行うため、CVが重複してカウントしてしまいます。
このような状況ですと正しい成果を見ることができず、本質的な広告効果を見落としてしまう可能性があります。そのような課題を解決してくれのが、Google Analytics(以下、GA)です。
Google Analytics(Google アナリティクス)とは
Google Analyticsとは、Googleが提供するアクセス解析ツールです。基本無料で使用することができます。有料版も存在しますが、無料版で基本的な計測は可能です。
登録したWebサイトに訪れたユーザーの行動に関するデータを確認することができるようになります。例えば、サイトの訪問者数や離脱数、離脱率、訪れたユーザーのデバイスや、どのサイトを経由して来たのかなどを見ることができます。
計測するためには、Google Analyticsのタグをページ全体に埋め込むことが必要となります。前述したGTMにGAのタグを設定することも可能です。GAで広告成果を計測していく事で、各媒体同じ条件で計測がなされるため、効果の本質を見極める事ができます。
Google Analyticsで媒体毎の成果を計測する方法
キャンペーン、広告グループ、広告などの階層毎にも効果を見ることができます。階層毎に効果を見るためには、UTMパラメーターを用いる必要があります。
UTMパラメーターとは、広告媒体へ入稿するURLのうしろに設置するパラメーターURLのことで、
このパラメーターが含まれたURLをクリックし、サイトへ遷移することで、GAのタグが反応し、どのメディアの、どのメニューからクリックされて訪れたユーザーかを判別します。
UTMパラメーターの種類
追加できるパラーメータは以下の5種類です。
パラメーター | データの種類 | 用途 |
utm_source | 参照元 | 検索エンジン名やサイト名などの参照元を識別します。 例:utm_source=yahoo |
utm_medium | メディア | 有料検索広告などの流入手段を指定します 例:utm_medium=cpc |
utm_campaign | キャンペーン | 商品やサービスのキャンペーン名やプロモーションコードなどを指定します 例:utm_campaign=summer_sale |
utm_term | キーワード | 有料検索広告のキーワードごとの流入経路を特定するために使用します 例:utm_term=mask |
utm_content | 広告 | 広告のクリエイティブやWebコンテンツ内リンクなどからの流入を特定するために指定します 例:utm_content=banner001、utm_content=text_line1 |
パラメーターの設定については、疑問符(?)を使用して URL とパラメータを区切ります。また、パラメータと値のペアは等号(=)でつなげ、それぞれのペアをアンパサンド(&)で区切ります。たとえば次のようになります。
例:yahoo検索広告のサマーセールキャンペーンのパラメーター
https://www.example.com/?utm_source=yahoo&utm_medium=cpc&utm_campaign=summersale
UTMパラメーターのルール
パラメーターを設定するうえで押さえておきたいお作法があります。それが以下の3つです。
- utm_source、utm_medium、utm_campaignは入力必須
- Website URLに?が含まれる場合は?を&に変更
- utm_mediumの値は自由記述せずルールに沿って選択
1 utm_source、utm_medium、utm_campaignは入力必須
URL にパラメータを追加する際は、どのようなケースでも utm_source、utm_medium、utm_campaign を使用する必要があります。utm_term と utm_content は省略できます。
utm_source、utm_medium、utm_campaignの3つを設定しないと正しく計測されない恐れがあります。
※参照:Googleヘルプ カスタム URL でキャンペーン データを収集するhttps://support.google.com/analytics/answer/1033863?hl=ja
2 Website URLに?が含まれる場合は?を&に変更
例えばWebsite URLがhttps://www.example.com/?p=part1のように?が含まれる場合、
通常「?utm_source」から始まるパラメータを「&utm_source」に変更する必要があります。URL上で「?」を2回続けるとリンクエラーになるためです。
3 utm_mediumの値はルールに沿って選択
Google Analyticsのシステムで定義された初期設定の9種類のチャネルグループを「デフォルトチャネルグループ」と言います。utm_mediumの値は自由記述ではなく定義に合わせて以下のリストの中から選択して利用するようにしましょう。自由記述で多くがその他に分類されてしまうとチャネル管理しづらくなります。
GA「デフォルト チャネル」 | utm_medium=〇〇に設定する値 | utmパラメータ |
Organic Search | organic | utm_medium=organic |
Paid Search | cpc ppc paidsearch |
utm_medium=cpc utm_medium=ppc utm_medium=paidsearch |
Display |
display cpm banner |
utm_medium=display utm_medium=cpm utm_medium=banner |
Other Advertising | cpv cpa cpp content-text |
utm_medium=cpv utm_medium=cpa utm_medium=cpp utm_medium=content-text |
Affiliate | affiliate | utm_medium=affiliate |
Social | social social-network social-mediasm social network social media |
utm_medium=social utm_medium=social-network utm_medium=social-mediasm utm_medium=social network utm_medium=social media |
utm_medium=email | ||
Referral | referral | utm_medium=referral |
Other | ※上記以外の任意の値 | utm_medium={任意の値} |
cpc、displayあたりが、広告でよく使用するutm_medium=の値です。
ここからは、実際の使用例を紹介していきます。
※理解しやすくするため、ランディングページURLをhttps://example.com/、広告用のキャンペーン名はaudienceで固定します。
▼サンプルUTMパラメーターURL
媒体 | サンプルパラメーターURL |
Google広告 | ※不要(Google自動タグ設定を推奨)後述 |
Yahoo!検索検索 | https://example.com/?utm_source=yahoo&utm_medium=cpc&utm_campaign=audience |
Criteo | https://example.com/?utm_source=criteo&utm_medium=cpc&utm_campaign=audience |
Facebook広告 | https://example.com/?utm_source=facebook&utm_medium=display&utm_campaign=audience |
Instagram広告 | https://example.com/?utm_source=instagram&utm_medium=display&utm_campaign=audience |
Yahoo!ディスプレイ広告(YDA) | https://example.com/?utm_source=yahoo&utm_medium=display&utm_campaign=audience |
LINE広告 | https://example.com/?utm_source=line&utm?medium=display&utm_campaign=audience |
indeed求人掲載 | https://example.com/?utm_source=indeed&utm_medium=cpc&utm_campaign=audience |
メールマガジン | https://example.com/?utm_source=owned&utm_medium=email&utm_campaign=audience |
Google 自動タグについて
前章でご紹介したサンプルUTMパラメーターURL内で、Google広告は不要と記載しましたが、Google広告においては、Google広告とGAを連携することで、入稿するURLにパラメーターを付けずとも、自動でパラメーターを付与できる機能があります。
ユーザーが広告をクリックすると、自動タグ設定によりその広告の URL に「GCLID」(Google Click Identifier の略)と呼ばれるパラメータが追加されます。たとえば、www.example.com の広告をユーザーがクリックすると、最終ページ URL は www.example.com/?gclid=123xyz のようになります。自動タグ設定が有効であり、ウェブサイトに Google Analytics タグが挿入されていれば、
計測が可能となります。
▼自動タグオンの方法
Google 広告アカウントにログイン>[設定]>[アカウント設定] >[自動タグ設定] >[ユーザーが広告クリック時にアクセスする URL にタグを設定する] の横のチェックボックスをクリックしてオン>[保存]
計測基盤を整えることが大事
計測基盤を整える事は準備やある程度の予備知識など、時間や工数がかかってしまう印象を持たれる方も多いと思います。ただ、インターネット広告を実施する上で正しい成果が計測できなければ、せっかく出稿したインターネット広告も意味をなさないことと同様だと思います。
「計測基盤を整える」この、最初のひと手間をかける事で、のちの広告・サイト運用がスムーズになりスピーディーなPDCAを回せる環境が自然と作れるはずです。今回ご紹介したGoogleのソリューションがUI的にも使いやすく非常におすすめをしております。
今後Googleのサービスがより拡大していく事も予想されますので、現在違う計測ツールを使っている方、これから導入を検討している方は、ぜひGoogle Analytics、Googleタグマネージャーを活用してみてはいかがでしょうか。