広告運用Tips

これから広告運用を始める方必見。リスティング広告の実績の見方と分析時に見るべきポイントとは

リスティング広告の実績の見方と分析

インターネット広告の多くは「運用型広告」とも言われています。実際に広告を配信して出てきた実績を基に分析・検証して適時改善を入れていくことで、目的としているコンバージョン数を増やしていくことが出来るのが大きな特徴です。

広告運用者は目標達成のために分析・改善を日々行なっていくことが求められます。今回は広告運用を始めたばかりの方が、つまずきやすい各指標の見方や分析・改善の部分についてご紹介いたします。

目次

  1. 広告分析で使用するツール
  2. 効果測定に使用する各指標
  3. 実績から分析・改善までの流れを見る
  4. Googleデータポータルを使用してレポート作成の時間を削減する
  5. 運用型広告は日々の継続的な改善が大事

広告分析で使用するツール

■Google広告・Yahoo!広告の広告管理画面
広告の実績はいくつかのツールで詳細を確認することが可能です。そのひとつがGoogle広告・Yahoo!広告の広告管理画面。予算投下に対してどれだけのコンバージョン獲得が出来ているのか、またコンバージョン獲得効率は良いのか悪いのかなどを一覧で確認することが出来ます。実際に入稿する際にも広告管理画面を使用しているはずですので、運用者からみれば一番なじみのあるツールだと思います。

■Google Analytics(グーグルアナリティクス)
もう一つ代表的なものがGoogle Analytics。Google Analyticsはサイト訪問したユーザーの分析を行なうことが主目的となっており、分析する際にはユーザーのサイト内でのページ遷移や離脱しているページ等を確認して、広告管理画面では得られない「ユーザーの動き」を把握するために使用します。

■その他の広告分析ツールについて
その他にも広告計測用ツールは、AD EBiS(アドエビス)、WebAntenna(ウェブアンテナ)などいくつも存在しています。しかし価格が有料であったりするので、まずは無料で使用することができるGoogle広告・Yahoo!広告の広告管理画面とGoogle Analyticsを中心に分析していけばよいと思います。これらを使用しても求めている分析結果が得られない場合は、有料ツールの導入も検討してみましょう。

効果測定に使用する各指標

ここから主題となる広告効果測定についてお話しいたします。広告効果測定を行う目的は目標と実績の差を見つけて、分析・改善を行なっていくことです。

■広告分析する前にまずは各指標の全体像を把握すること
分析する際に使用する広告指標は、クリック数、コンバージョン数、コンバージョン単価など実に様々な種類があります。使い慣れないうちはとっつきにくいかと思いますが、各広告指標が何を表しているのかは、全体像を把握して覚えれば比較的イメージが付きやすいかと思います。広告分析は主にこれらの広告指標の変動(増減)を見ながら、改善を図っていきます。

代表的な広告指標について※Google広告・Yahoo!広告の広告管理画面

見ていくべき代表的な広告指標をピックアップしてみます。これらの数字はすべてGoogle広告・Yahoo!広告の広告管理画面から確認することができます。

インプレッション数(IMP)とインプレッション単価(CPM)

主にユーザーに広告を表示させた成果を見ていく際に確認する広告指標となります。インプレッション数は、実際にユーザーに広告を表示させることが出来た数であり、インプレッション単価はその広告を表示をさせるためにかかった広告費となります。

  • インプレッション単価(CPM):広告を1,000回表示するごとに発生した広告費

実際の運用においては、広告を表示させただけで広告費が発生するインプレッション単価で運用を行うケースは少ないです。これから広告運用を始める方は、このような広告指標もあることを覚えておけばよいと思います。

クリック数(CTs)とクリック単価(CPC)

主にサイトへの「誘導」に関する成果を見ていく際に確認する広告指標となります。クリック数は実際にサイトに訪問させることが出来た数と捉えて問題ないと思います※注1。

  • クリック単価:広告費÷クリック数 ※ユーザーをサイトに連れてくる際にかかる平均コスト

※注1:サイトへ誘導せず広告だけで完結する場合もある(水漏れなど緊急性の高い広告はサイトへ遷移させず直接電話する形で運用する)のですが、広告運用においてサイトへの誘導を目的として設定するケースがほとんどで、ここではクリック数=サイト訪問数と捉えてお話ししております。

コンバージョン数(CV)とコンバージョン単価(CPA)

主に購入やサービス申込などの「目的達成」に関する成果を見ていく際に確認する広告指標となります。

  • コンバージョン数:「目的達成」に関する成果の件数
  • コンバージョン単価:広告費÷コンバージョン数 ※目的達成するために発生した広告費

クリック率(CTR)とコンバージョン率(CVR)

主にサイト訪問、もしくはコンバージョンに至るまでの効率を確認するための指標となります。クリック率、コンバージョン率の低下は目的達成を阻害する要因となることが多いため、運用では最重要指標となります。

  • クリック率:クリック数÷広告の表示回数(インプレッション数)×100
  • コンバージョン率:コンバージョン数÷クリック数×100

Google Analyticsの指標について

Google Analyticsでは広告管理画面以上にたくさんの指標を確認することが出来ます。その大部分がサイト訪問時のユーザーの動向に関する内容です。全部の指標を見る必要はなく、まずは広告分析に関連する指標だけを見ていけば問題ありません。広告分析・改善を行う際に使用することが多い代表的な指標をいくつかピックアップします。

  • 直帰率:サイト訪問後、最初のページ(ランディングページといいます)だけを見て離脱してしまった割合を表しています。つまり訪問したユーザーが何もアクションを起こさずサイトを離れてしまった率ともいえます。広告のランディングページでは1枚のペラページで作成されることも多く、一般的に自然検索などのほかの流入経路と比べて直帰率は高くなる傾向にあります。分析する際は他の流入経路と比較するのではなく、同じ広告経路で比較検証する形が一般的です。
  • 平均セッション時間:1セッションにおけるサイトの平均滞在時間を表しています。訪れたユーザーのページ別の滞在時間を基に算出されます。※セッションと訪問は同意味で使用しております。
  • ページ/セッション:1訪問における閲覧したページ数の平均を表しています。この値が大きいほどたくさんのページを閲覧したということであり、興味関心の高い訪問であったことを表しています。しかし訪問したサイトの構成が複雑であったり、情報が探しにくい場合などにも高くなる傾向にあります。
  • 離脱ページ:訪問したユーザーが最後に閲覧したページです。このページを境に離脱していることを示しており、広告運用においては改善対象となるページとなります。離脱にもいくつかパターンがあり、興味がなくなり離脱するパターンもあれば、同ページを開いたままセッションが切れて(1訪問で30分以上経つとセッションが切れる)離脱しているというパターンもあります。どちらの離脱が中心なのかは実際のページを見て検証することになります。

実績から分析・改善までの流れを見る

各広告指標についてはイメージは出来ましたでしょうか。では、実際にこれらの指標を基に改善を行う流れをお話しいたします。分析するためにまずは各広告指標が運用後どの様に変動したかを比較し確認します。全ての指標を同時に見ようとすると、判断がつかないケースが多いため、まずは目標となるコンバージョンから逆算して各要因を特定する方法で考えてみましょう。

※Google広告管理画面より抜粋

Google広告管理画面のコンバージョンデータ

添付の資料は実際のGoogle広告管理画面からコンバージョンデータを確認しています。直近コンバージョン実績が861件と先週に比べて約19%ほど低下しています。運用者としてはこの数字の改善を行なう必要があります。コンバージョン数低下の要因として下記内容が考えらえられます。

コンバージョン数悪化時に考えられる要因 関連する広告指標
広告のインプレッション数が減少した インプレッション数(IMP)
広告閲覧したユーザーのクリック数が減少した クリック率(CTR)
インプレッション数(IMP)
訪問後のコンバージョン率が低下した コンバージョン率(CVR)

では実際にどの指標が下がってしまったのかを広告管理画面から検証してみます。

期間 インプレッション数
(IMP)
クリック率
(CTR)
コンバージョン率
(CVR)
今週 109,357 17.41% 4.52%
先週 104,631 17.56% 5.80%

インプレッション数については先週より数が伸びており、今回のコンバージョン数減少の要因ではなさそうです。次にクリック率についてもわずかな低下は見られるものの、ほぼ先週と同率となりこちらも悪化の要因ではなさそうです。最後にコンバージョン率ですが、こちらは先週と比べて大きく落ち込んでいました。今回のコンバージョン数減少の要因はこのコンバージョン率の低下による影響が大きいと判断することがで出来そうです。

コンバージョン率の低下要因を仮説を立てて検証してみる

一般的にコンバージョン率が低下した要因としては、例えば以下のようなことが考えられます。

  • ユーザーの検索ニーズに変化があった
  • 競合の出稿強化や、新たな競合の出現により、そちらにコンバージョンが流れてしまった 等
コンバージョン率悪化時に考えられる要因 分析するデータ 使用ツール 要因範囲
ユーザーのニーズが先週と比べて変化した 検索キーワード・検索語句 広告管理画面data、Googleトレンド、Yahoo!リアルタイム検索など 外的要因
競合の出稿強化や、新たな競合の登場により、そちらにコンバージョンが流れてしまった オークション分析 広告管理画面data 外的要因
ランディングページの構成に変更があり、コンバージョンに到達することなく離脱するユーザーが増えた 直帰率・平均セッション時間・離脱ページなど Google Analytics 内的要因

広告に関する内容のほとんどは広告管理画面上から確認することが出来ますが、サイト内でのユーザーの動きなどについてはGoogle Analyticsを用いて検証していくことになります。

■要因を外的・内的に分けて考える
主に自社サイト内に悪化する要因がある場合は内的要因と捉えることが出来ます。Google・Yahoo!検索上での変化(例えば、検索するユーザーの検索する目的や理由が変わった、検索広告の競合が出稿を強化したなど)は外的要因と捉えることが出来ます。内的要因であれば広告文や自社サイト内の改善となるので、比較的コントロールしやすい改善となります。対して外的要因となる改善はユーザーや競合の動きによる悪化が要因となるので、広告キャンペーン全般の見直しを行う必要があります。

■キーワードのニーズに変化は見られないか
検索キーワード・検索語句レポートのほかにGoogleトレンドやYahoo!リアルタイム検索というツールを使うことで、ユーザーのニーズの変化を測ることが出来ます。

■競合が出稿を強化していたり、新たな競合は出てきていないか
オークション分析データから競合のシェア増加や、新たな競合の出現が確認出来た場合、コンバージョン率の低下は競合出稿による影響が考えられます。まずはユニークセリングポイント(USP)を広告文に打ち出せているのかを確認します。例えば価格訴求で負けている場合、価格ではない価値をメインに打ち出し(例えばECであれば送料無料、当日配送など)競合広告と差別化を図る改善を入れていきます。

また、競合が出稿を強化している場合は、こちらも出稿の再強化や配信プランの見直しを検討する必要があります。

■ランディングページ切り替え後、各数字に変化は見られないか
ランディングページの変更はコンバージョン率の増減に関わりやすく、変更後にコンバージョン率が低下している場合は、元に戻す等の何らかの対策が必要です。

コンバージョン率の低下要因の一般的な例をご紹介しましたが、今回例としてお見せしたケースでは、広告の表示回数や、サイト・ランディングページへの誘導数(クリック数)には大きな変化はないため、もしランディングページを変更している場合は、それが要因である可能性が高いと考えられます。

Googleデータポータルを使用してレポート作成の時間を削減する

広告分析・改善は週単位、場合によっては日単位で行なうことになります。レポートの作成に時間をかけたくない方はGoogleデータポータルを使用することをお勧めします。

データポータル
https://marketingplatform.google.com/intl/ja/about/data-studio/

  • 管理画面とつなぎこむことでリアルタイムで実績を確認することが出来る
  • Google広告管理画面、Google Analyticsなど分かれているデータを一覧で確認できる
  • URLを共有すれば、業務関係者に情報を共有することが出来る

直接繋ぐことが出来ないデータもあるのでご注意ください。例えばYahoo!広告管理画面とつなぐことは出来ません。Googleデータポータルにつなぎたい場合は、別途有料のツールを用いるか、Yahoo!広告のみ手動でデータをアップするなどの対策が必要になります。

では、実際にデータポータルを使用して取得できる情報をみてみます。下記内容は取得できる情報の例となります。

  • 「参照元/チャネル」別に流入するユーザーの属性を把握する
  • 「特定のページ」を閲覧した場合の購入率のを算出。見ない場合との差を把握する
  • 「特定キーワード」のデイリーでの推移を把握する
  • 「特定の商品」の収益についてデイリーで追うことができるようにする
  • 「ユーザーの訪問時間帯」を曜日×時間帯別で見えるようにして、ユーザーの訪問されやすい時間帯を把握する

例えば上記のようなデータは、Google Analyticsにログインしてもスグには確認することが出来ないデータです。重要な指標に関しては、データポータルを使用して事前に登録しておき、誰でも確認したい時にいつでも確認ができるようにデータポータルを共有しておけば、レポートの作成や共有の時間を短縮することができ、効果的な広告運用へとつながります。

運用型広告は日々の継続的な改善が大事

運用型広告は、様々なデータを日々確認しながら改善を行っていくものとなります。日々の分析・改善業務が成果となって表れてくるので、人によってはゲーム感覚で楽しみながら運用を行っている方もいます。最初は覚えることも膨大で大変なことも多いと思いますが、まずは1件でも多く成果を出せるよう一つ一つ動いてみましょう。成果が出てくれば面白くなってこの業務から離れることが出来なくなるはずです。