広告運用Tips

【2024年版】Google広告|動的リマーケティングタグの設定方法

Google広告で動的リマーケティングを実施するために必要なタグの設定方法は、Google広告のヘルプページ「動的リマーケティング用のタグをサイトに追加する」に記載されていますが、手順10.(サイトのHTMLやGoogleタグマネージャーに手を加える部分)で行き詰まってしまう方も多いのではないでしょうか。

本記事では、Googleタグマネージャーを導入済みのECサイト(小売業種のサイト)を例として、動的リマーケティングタグ設定の典型的な方法をご案内します。P-MAXキャンペーンにおいて動的リマーケティングを実施するために必要なタグ設定についても、本記事に記載の方法で万全です。

小売以外の業種(求人,不動産,旅行,教育など)のサイトさまは、本記事に記載している小売業種向けのアイテムパラメータを、各業種別のアイテムパラメータに読み替えて、本記事をご利用ください。

目次

  1. Googleタグマネージャーで5種類のリマーケティングタグの大枠を作成する
  2. HTMLから取得した商品ID,金額をGTM変数に格納して上記空欄にセットする
  3. リマーケティングタグが正常に発火していることを確認する

Googleタグマネージャーで5種類のリマーケティングタグの大枠を作成する

下記の【図表1】は、Google広告の動的リマーケティングを実施するECサイトの、典型的なタグ設定例(Googleタグマネージャーのタグ一覧画面)です。

【図表1】Google動的リマーケティングを実施するECサイトで発火すべきタグ一覧(典型例):

  • 上記(6)(7)のタグは、Google広告を利用するサイトの多くに導入されている、コンバージョントラッキングタグとコンバージョンリンカータグです。動的リマーケティングを実施する場合にも発火させるケースがほとんどでしょう。
  • 上記(1)~(5)のタグは、動的リマーケティングを実施するために必要な、Google広告のリマーケティングタグであり、それぞれを異なるページ階層・タイミングで発火させる必要があります。(1)~(5)の「タグの種類」は、いずれも「Google広告のリマーケティング」であり、5種類のタグの違いは「Send dynamic remarketing event data」欄にセットする情報のみです。以下の【図表2】は、商品詳細ページ閲覧時に発火させるリマーケティングタグの設定例です。【図表3】は、5種類のリマーケティングタグの「Send dynamic remarketing event data」欄にセットする情報の一覧です。

【図表2】Google動的リマーケティングを実施するECサイトの商品詳細ページ閲覧時に発火すべきリマケタグの例:

【図表3】ECサイトの各ページ階層のGoogle動的リマーケティングタグで発火すべきカスタムパラメータの例:

発火タイミング Event Name Event Value イベント アイテム
検索結果ページの閲覧 固定値「view_search_results」 (不要) {{商品IDを含むGDR用の配列を返すGTM変数}}
商品一覧ページの閲覧 固定値「view_item_list」 (不要) {{商品IDを含むGDR用の配列を返すGTM変数}}
商品詳細ページの閲覧 固定値「view_item」 {{商品金額を返すGTM変数}} {{商品IDを含むGDR用の配列を返すGTM変数}}
カートへの商品投入 固定値「add_to_cart」 {{商品金額を返すGTM変数}} {{商品IDを含むGDR用の配列を返すGTM変数}}
注文完了ページの閲覧 固定値「purchase」 {{商品金額を返すGTM変数}} ※注文金額の総額をセット {{商品IDを含むGDR用の配列を返すGTM変数}}

ECサイトがGoogle動的リマーケティングを実施するために発火すべきタグの全体像については、以上です。まずは、【図表2】と【図表3】をご覧いただきながら、Googleタグマネージャーで【図表1】の状態までの準備を進めます。「Event Value」・「イベント アイテム」にセットする情報({{商品金額を返すGTM変数}}{{商品IDを含むGDR用の配列を返すGTM変数}})については、次のセクションでご案内いたしますので、ひとまず空欄にしておきます。

HTMLから取得した商品ID,金額をGTM変数に格納して上記空欄にセットする

前のセクションにおいて、動的リマーケティングタグ設定の大枠は完成しており、あとは残しておいた空欄を埋めるだけです(とはいえ、ここが動的リマーケティングタグ設定の本丸です)。次の3ステップで埋めることができます。

  1. 「Event Value」・「イベント アイテム」にセットしたい金額と商品IDを、各ページ階層のHTMLに出力する
  2. HTMLに出力した金額と商品IDを格納するためのGTM変数を作成する
  3. 作成したGTM変数を、リマーケティングタグの空欄にセットする

「Event Value」・「イベント アイテム」にセットしたい金額と商品IDを、各ページ階層のHTMLに出力する

各ページ階層(商品詳細ページ,商品一覧ページ,注文完了ページ)のHTMLに、下記のようなコードを出力します。サイトからGoogleタグマネージャーへ、商品金額と商品IDを渡すためのコードだと考えるとわかりやすいです。なお、すでに異なる形で、サイトからGoogleタグマネージャーへ商品金額と適切な商品IDを渡している場合には、本工程は不要です。

商品詳細ページHTMLに出力するコード例:


<script>
window.dataLayer = window.dataLayer || [];
dataLayer.push({
  'gtm_product_ids': ['ABC123'],
  'gtm_product_value': 5500
});
</script>
  • カラーやサイズのバリエーションのある商品を販売されているECサイトが、Google動的リマーケティングを実施するためには、カラー×サイズの1バリエーションを1行とする商品フィードを、Googleマーチャントセンターへ入稿する必要があります。例えば、4色×3サイズの展開のある商品は、商品フィードにおいて12行で書きあらわされ、id列には12種類の異なるバリエーションIDが、item_group_id列には12行において共通の商品グループIDがセットされます。複数のカラー×サイズのバリエーションを、1枚の商品詳細ページに掲載されているケースにおいては、上記コードのgtm_product_idsに「商品フィードのitem_group_id列にセットする商品グループID」と同じ値をセットします。
  • カラーやサイズのバリエーションのない商品が掲載されている商品詳細ページにおいては、上記コードのgtm_product_idsに「商品フィードのid列にセットする商品ID」と同じ値をセットします。
  • 上記コードのgtm_product_valueには、商品詳細ページに掲載されている商品の価格をセットします。

商品一覧ページHTMLに出力するコード例:


<script>
window.dataLayer = window.dataLayer || [];
dataLayer.push({
  'gtm_product_ids': ['ABC123','DEF456','GHI789']
});
</script>
  • 複数のカラー×サイズのバリエーションを、1枚の商品詳細ページに掲載されており、商品一覧ページが商品詳細ページへのリンク集になっているケースにおいては、上記コードのgtm_product_idsに「商品フィードのitem_group_id列にセットする商品グループID」と同じ値をセットします。
  • カラー×サイズのバリエーションのない商品を一覧表示している場合には、上記コードのgtm_product_idsに「商品フィードのid列にセットする商品ID」と同じ値をセットします。

注文完了ページHTMLに出力するコード例:


<script>
window.dataLayer = window.dataLayer || [];
dataLayer.push({
  'gtm_product_ids': ['ABC123-red-S','ABC123-blue-M','ABC123-yellow-L'],
  'gtm_product_value': 16500
});
</script>
  • 複数のカラー×サイズのバリエーションを1枚の商品詳細ページに掲載されているECサイトにおいても、注文された商品のカラー×サイズのバリエーションは、特定されています。したがって、上記コードのgtm_cart_idsには「商品フィードのid列にセットするバリエーションID」と同じ値をセットします。
  • カラー×サイズのバリエーションのない商品が注文された場合には、上記コードのgtm_cart_idに「商品フィードのid列にセットする商品ID」と同じ値をセットします。
  • 上記コードのgtm_cart_valueには、注文された商品の合計金額をセットします。

HTMLに出力した金額と商品IDを格納するためのGTM変数を作成する

Googleタグマネージャーにおいて、下記キャプチャのようなGTM変数{{商品IDリストを返すGTM変数}}と{{商品金額を返すGTM変数}}を作成すると、作成したGTM変数の中に、さきほどHTMLに出力した商品IDや金額を格納することができます。

また、「イベント アイテム」欄にセットするのに適切な形式のデータを返すGTM変数{{商品IDを含むGDR用の配列を返すGTM変数}}を、次のように作成します。

上記キャプチャ内に記載のコードは次のとおりです。


function(){
  var input = {{商品IDリストを返すGTM変数}};
  var output= [];
  for(var i = 0; i < input.length; i++){
    output.push({'id':input[i],'google_business_vertical':'retail'});
  }
  return output;
}

作成したGTM変数を、リマーケティングタグの空欄にセットする

作成したGTM変数{{商品金額を返すGTM変数}}と{{商品IDを含むGDR用の配列を返すGTM変数}}を、【図表2】で空欄にしておいた「Event Value」欄・「イベント アイテム」欄に、それぞれセットします。Googleタグマネージャーによる、ECサイトのGoogle動的リマーケティングタグの設定作業は以上であり、プレビューモードで正常に発火していることを確認できたら公開します(発火確認の方法については後述)。

リマーケティングタグが正常に発火していることを確認する

リマーケティングタグ発火のトリガーとして設定したイベント(ページビュー等)が発生し、リマーケティングタグが正常に発火すると、ブラウザからgoogleads.g.doubleclick.net宛てのリクエストが発生し、「Event Name」「Event Value」「イベント アイテム」の情報は、同URLに含まれる形でGoogleへ送信されます。5種類の発火タイミングにおいて、それぞれ想定通りの「Event Name」「Event Value」「イベント アイテム」が送信されることを確認できればOKです。

[藤本 2024年1月5日リライト]